言葉のエッセンス

顔!顔!!顔

数年前「顔施(がんせ)」と言う書画が手に入り、いつもお世話になっている方にもらって頂きました。室の隅の方にでも飾ってもらえたらと思っていましたのに談話室に飾られて「顔施」の意味も丁寧に書き添えられていました。ちなみに「顔施」の持つ意味は「顔で人に施す」つまりいつも笑顔で人と接しなさいという事の様です。

昨年の6月に事務局が肥後橋に移動して、通勤途上のビルに飾られている花を見ていた時、二人の老女に駅への道を尋ねられました。目と鼻の先にある場所がわからないと言うことは良くあることですが、教えた2〜3分後に又、別の男性から郵便局を聞かれました。

今から思い起こしますと30数年前海外に居た時も白人社会なのに東洋人の私が道を聞かれた事も一度や二度ではありません。サンフランシスコでも一緒に歩いている当地在住の友人に聞かず私に道を聞いてくる人があるので「何故私なの?」と言いますと友人曰く「貴女が我が物顔をして自信満々に歩いているからよ。」とからかわれました。

何故私はこんなに人に道を聞かれるのだろうかと時々自分自身でも不思議に思うことが有りましたが、ある時本を読んでいるとその中に「道聞かれ顔」と言う人相があると書かれておりやっとわかりました。これだ!これだ!私の顔は「道聞かれ顔」なのだと。その時以来これも「顔施」の一つだと。どんな時でも心良く応えるようにしようと決め、「すぐそこやないの!」「めんどうやな!」「急いでいるのに!」等と思っても決して顔に出さず、それはそれはにこやかに親切に応える様にしています。私の毎日はそんなささやかな「顔施」なのです。

written by M.N.
Back Number

HOME